「人の記憶と、家の記憶。」
柱や壁に残った傷
窓辺に置かれたままの椅子
使い込まれた棚の上の小物たち
壁にかかった時計
家という静かな背景の中で
モノたちがどう置かれ
どう使われてきたのか
それらの定位置には
長い時間をかけて積み重なった日常が宿っています
解体や住み替えによってその空間が失われてしまう前に
「家の記憶」
人と家、二つの記憶が重なり合った
「暮らしの気配」を写真に残すプロジェクトです
暮らしの痕跡
建物そのものだけでなく、そこに流れていた「時間」を撮りたい。
そのために私がレンズを向けるのは、愛着のある家具や、生活道具たちです。
誰かの手によって使い込まれた質感。
毎日開け閉めされたドアの取っ手。
それらは、そこに住む人の人生そのものであり、家という空間が記憶した「生きた証」です。
取り壊しやリノベーション、あるいは住み替え。
たとえ建物が残ったとしても、そこに在った「今の暮らし」は、
その時を境に失われてしまいます。
見慣れた景色が変わってしまう、その前に。
図面には残らない、しかし確かにそこにあった「温度」を、静かに記録します。